キャンプのダッチオーブン本格料理ガイド|炭配分・温度管理とレシピ6選

炭火の上に置かれたダッチオーブンと、横に置かれたリッドリフターを描いたイラスト キャンプ飯

ダッチオーブンは、上火と下火をゆっくりコントロールできるのが魅力です。この記事では、基本の火起こしができる方向けに「外でも家庭用オーブンのように安定させるコツ」をまとめました。まずは温度と炭配分の目安を押さえ、続くレシピで実際の流れを確認していきます。

このガイドでできること

  • 家庭のオーブンに近い仕上がりを外でも再現するコツがわかる。
  • 失敗しやすい場面と、その避け方が具体的に見える。
  • すぐに試せる“炭の置き方の目安”を持ち帰れる。

補足:炭の種類と得手不得手は本文中でも触れます。詳しく知りたい場合は「炭の選び方完全ガイド」を参考にしてください。


ダッチオーブンの前提と下準備

  • サイズ目安:ソロ〜2人は10インチ、3〜4人は12インチが扱いやすい。
  • 必須ツール:リッドリフター、耐熱手袋、余炭用の火消し缶、温度計(接触式・非接触式のどちらか)。
  • 予熱:上火・下火ともに5〜10分の予熱で蓄熱層を作る。パンやローストは予熱の良し悪しが仕上がりを左右。
  • 回転:15分に一度を目安に本体を90°・蓋を90°回す(向きをずらす)。局所的な焦げを抑え、均一化に有効。

ダッチオーブンのサイズ・形状や材質選びの考え方は「ダッチオーブンの選び方」にて基礎をまとめています。


上火・下火と温度の目安

外気温・風・炭の種類で誤差が出るため、以下は出発点の目安です。現場では温度計と焼き色で調整してください。

10インチ(目安)

  • 180℃(ベイク):上14/下6(合計20)
  • 200℃(ベイク):上16/下8(合計24)
  • ロースト強め:上12/下10(合計22)

12インチ(目安)

  • 180℃(ベイク):上17/下8(合計25)
  • 200℃(ベイク):上19/下9〜10(合計28〜29)
  • ロースト強め:上14/下12(合計26)

調整の勘所

  • 下面が強すぎる→焦げやすい・乾く:下を1〜2個減らし、上を+2個。
  • 上面が弱い→焼き色が付かない:上を+2〜3個。蓋の回転頻度を上げる。
  • 風が強い→実効温度が下がる:合計+10〜20%。風防の設置も有効。

失敗しやすいポイントと対策

  1. 焦げやすいとき:下火が強めだったり、油が一箇所に溜まっていることが多いです。→ 下火を1〜2個減らす、食材の下に網やクッキングシート/野菜の層を挟む、15分ごとに本体と蓋を90°ずつ回すのがおすすめです。
  2. 生焼けになりやすいとき:予熱不足や上火不足、蓋の密着が甘い可能性があります。→ 予熱を5〜10分きちんと行う、上火を2〜3個足す、鍋縁と蓋の粉や油を拭って密着させると安定します。
  3. 水分が飛びすぎ/残りすぎ:パンやベイクは前半に蒸気を閉じ込め、後半で逃がすのが基本。→ 前半は蓋をしっかり閉じる、後半は上火をやや増やす蓋を少しずらすと調整しやすいです。
  4. 温度の当て感が難しい:外気温や風、炭の状態で変わります。→ 温度計の併用焼き色の目視を基準にして、目安配分から微調整していきましょう。

ダッチオーブン本格レシピ6選

以下はすべて10インチ基準です。12インチの場合は上火+2〜3/下火+1〜2を目安にしてください。分量はキャンプで作りやすい量に寄せ、段取りも併記しました。

1. 丸鶏のロースト(外はこんがり、中はしっとり)

丸鶏のローストが入ったダッチオーブンを上から撮影した写真
  • 所要:90〜110分/難易度:中級
  • 材料(2〜3人)
    • 丸鶏1.2〜1.5kg(塩は肉重量の1.5%、胡椒少々)
    • タイムやローズマリー、にんにく3〜4片、オリーブ油大さじ2
    • じゃがいも・玉ねぎ・人参など計400〜500g
  • 段取り:前日に塩をすり込み(ドライ・ブライン)、当日は室温に30〜60分戻す。
  • 炭配分:予熱後 上14/下8(ロースト寄り)。
  • 作り方
    1. 鶏の水気を拭き、全体に油を薄く。鍋底に根菜を敷き鶏をのせる。
    2. 40分焼いてから本体・蓋を90°ずつ回転。出た脂を根菜に回しかける。
    3. さらに30〜40分。皮の色づきが弱ければ上火を2個追加して15分ほど。
  • 焼き上がりの目安:もも付け根の中心温度75℃、肉汁が透明。取り出して10〜15分休ませるとしっとりします。
  • 現場のコツ:底面の焦げ防止に底網や薄切り野菜の層が便利。風が強い日は風防を。

2. 無水カレー(野菜の水分でやさしく煮込む)

  • 所要:70〜90分/難易度:中級
  • 材料(3〜4人)
    • 玉ねぎ大3個(約600g)、トマト2〜3個(約400g)
    • 鶏もも500g(ひと口大)、塩小さじ1、好みのスパイス、油大さじ1
  • 炭配分上10/下8(煮込みは下やや強め)。
  • 作り方
    1. 玉ねぎ→鶏→トマトの順に重ね、塩と油を回す。弱〜中温でじっくり加熱。
    2. 水分が上がってきたら軽く混ぜ、30〜40分煮る。
    3. スパイス(または少量のルゥ)を溶き、上火をやや増やして10分ほど煮詰める。
  • ポイント:初動は下火控えめに。底付きが不安ならクッキングシートを敷いてから具材を入れると安心です。塩は仕上げの煮詰め後に微調整。無水は旨味が濃くなるため、初動の塩は控えめが無難。

3. スペアリブのコーラ煮 → 仕上げ焼き(照りと香ばしさ)

  • 所要:80〜100分/難易度:初中級
  • 材料(3〜4人)
    • スペアリブ800g、コーラ500ml、醤油大さじ4、にんにく・生姜各1片
  • 炭配分:煮込み上8/下8 → 仕上げ焼きで上12/下6
  • 作り方
    1. 鍋に材料を入れ、ひたひたで60分煮る(弱〜中温)。
    2. 煮汁を半量まで煮詰め、上火を増やして照り出し
    3. 仕上げに網で表面をサッと焼いて香ばしさを足す。
  • ポイント:甘さ由来の焦げが出やすいので、仕上げは短時間で様子を見ながら。煮詰めすぎたら水を少量戻します。

4. カンパーニュ風パン(前半は蒸気、後半は色づき)

  • 所要:発酵除き60〜70分/難易度:中級
  • 配合(目安)
    • 強力粉250g+薄力粉50g、水195g(加水65%)、塩6g(2%)、インスタントドライイースト2g(0.8%
  • 炭配分:前半180℃相当(上14/下6)→ 後半200℃(上16/下8)
  • 作り方(簡易)
    1. 混ぜて10分休ませ、折りたたみを2回。成形してベンチ10分。
    2. しっかり予熱した鍋にクッキングシートごと入れ、前半20分はしっかり蓋
    3. 後半は上火を増やし、焼き色と腰高を出す。打音が“コツン”と澄めばOK。
  • ポイント:腰折れはたいてい予熱不足が原因。気温が高い日は発酵が早いので、進み過ぎに注意します。

5. シナモンロール(甘さと香りを楽しむ)

  • 所要:発酵除き45〜55分/難易度:初中級
  • 配合(目安)
    • 強力粉300g、牛乳180g、砂糖30g、バター30g、塩5g、ドライイースト3g
    • フィリング:バター30g、砂糖40g、シナモン小さじ2
  • 炭配分180℃相当(上14/下6)
  • 作り方
    1. 一次発酵後に伸ばし、フィリングを塗って巻き、等分して型に並べる。
    2. 予熱した鍋で前半20分は蓋をしっかり、後半は蓋を少しずらすか上火を増やして色づけ。
  • ポイント:底が焼けやすいので底網や二重シートで保護。冷めたらクリームチーズアイシングもよく合います。丸ごと魚を入れる場合は腹腔に薄塩+ハーブを少量入れると臭み軽減に有効。

6. アクアパッツァ(蒸し焼きと余熱でふっくら)

  • 所要:35〜45分/難易度:初級
  • 材料(2〜3人)
    • 白身魚400〜600g(丸ごとでも切り身でも)、塩(魚重量の1%)、オリーブ油大さじ2
    • にんにく1片、ミニトマト10個、オリーブ適量、白ワイン100ml、好みのハーブ
  • 炭配分上10/下8(蒸し焼き)
  • 作り方
    1. 魚に塩を当てて15〜20分置き、水気を拭く。
    2. 鍋でにんにくと油を温め、魚と具材、白ワインを入れて弱〜中温で蒸し焼き。
    3. 仕上げは上火を少し強め、火を止めて余熱で3〜5分落ち着かせる。
  • ポイント:生臭さは塩当てと水気拭きでかなり軽減。身が固くなる前に早めの余熱仕上げがやさしいです。

後片付け・メンテ

シーズニングのために油を塗ったダッチオーブンを加熱している様子
  • 鋳鉄:粗熱が取れたら温水で洗い、弱火で完全乾燥→薄く油を塗布。錆の原因は“水分の残留”。
  • ホーロー:急冷・空焚きに注意。焦げは木ベラで優しく除去。
  • 匂い移り:重曹水で軽く煮てから乾燥させるとリセットしやすい。

安全とマナー(必読)

  • 直火禁止のキャンプ場では焚き火台やグリル上で使用する。炭の後始末は完全消火→持ち帰りが基本。
  • 風が強い日は設置場所を吟味し、可燃物から十分な距離を取る。

焚き火の安全距離や消火手順などの基礎は「焚き火の基本と注意点」で整理しています。


よくある質問

  • Q. ホーローダッチでもパンは焼ける? → 可。ただし急冷・局所過熱は避け、下火を控えめに。金属ツールはキズに注意。
  • Q. 何分ごとに蓋を開ける? → 15分おきの回転時に様子を見るのが基本。パンは“前半は極力開けない”。
  • Q. 余った炭はどうする? → 火消し壺で窒息消火→次回以降の着火促進に再利用可。

炭の再利用については安全な鎮火と炭再利用のための選び方の記事で詳しく解説しています。


まとめ

本稿の要点は、予熱・配分・回転の3つに集約されます。まずは目安の炭配分で始め、焼き色と温度を見ながら「上を足す/下を引く」の順で調整してください。仕上がりの手触りが一度つかめると、家庭用オーブンに近い安定感で再現できます。

次の一歩

  1. 作りやすい一品を選ぶ(迷ったら無水カレーが合わせやすい)。
  2. ダッチオーブンを5〜10分予熱→ 目安配分でスタート。
  3. 15分ごとに本体と蓋を90°回転し、焦げを均す。
  4. 焼き色と中心温度を確認し、上火を足す→下火を引くの順で微調整。
  5. うまくいった配分と所要時間をメモ。次回の出発点にする。

タイトルとURLをコピーしました