冬キャンプで「寝袋をちゃんと選んだのに寒くて眠れない」という失敗の多くは、実はマット側の断熱不足が原因です。地面からじわじわと奪われる冷気は、空気の冷たさ以上に体力を消耗させます。マット選びの基本はすでに 初心者向けキャンプマットの選び方 で整理されていますので、本記事では一歩踏み込んで、冬キャンプに特化した「R値の考え方」と「具体的なおすすめマット」を詳しく解説します。
ファミリーキャンプやソロキャンプなどスタイル別のマット選びは ファミリーキャンプにおすすめのキャンプ用マット や ソロ用マットの選び方とおすすめ4選 でも触れていますが、ここでは「冬でもしっかり眠れるか」という視点に絞って、実戦的な構成例まで落とし込んでいきます。
冬キャンプ用マット選びで押さえたいR値のポイント
R値とは何か|数字が大きいほど「地面の冷たさ」を遮断する
R値(熱抵抗値)は、マットがどれだけ熱を通しにくいかを表す指標です。単純化すると「数字が大きいほど地面からの冷えを防ぐ」と考えて問題ありません。厚みがあっても中身がスカスカなエアーマットはR値が低いこともあり、見た目のボリュームだけで判断すると失敗しがちです。
マットの選び方全般については 初心者向けキャンプマットの選び方 で詳しく整理していますが、冬キャンプではそこからさらに「R値が足りているか」を必ずチェックしておきたいところです。
なお、マットだけでは底冷えを完全に防ぎきれない場面もあります。冬は地面から身体を離せるコットを併用すると効果が大きく、モデル選びについては 冬キャンプに強いコットおすすめ5選|寒さに強いモデルを徹底比較 で詳しく比較しています。気温帯別の必要R値(あくまで目安)
体質や寝袋、着込む服、テントの構造などによって体感は変わりますが、目安としては次のように考えるとイメージしやすくなります。
- 秋〜初冬(0〜5℃前後):R値3.5〜4.0以上
- 本格的な冬キャンプ(-5℃前後):R値5以上
- 雪中・凍結した地面の上:合計R値5〜6以上を目標
ここで大事なのは、「1枚でR値をすべて満たさなくてもよい」という点です。クローズドセルマットとインフレータブルマットを重ねれば、R値は足し算で考えられます。
R値は「合算」して考えるのが現実的
例えば、R値2.0前後のクローズドセルマットの上に、R値3.5前後のインフレータブルマットを重ねれば、合計でR5.5程度のイメージになります。厳密な物理計算ではありませんが、実用上の目安としては十分役に立ちます。
また、シュラフ側の防寒については 冬キャンプのシュラフ選び完全ガイド|暖かい寝床の作り方 で詳しく解説していますので、マットとシュラフをセットで考えると、底冷え対策の全体像がつかみやすくなります。
冬キャンプ用マットおすすめ5選
ここからは、冬キャンプで使いやすい実在のマットを5つに厳選して紹介します。いずれも「0〜-5℃帯を現実的にカバーできるか」「クローズドセルとの重ね使いで伸びしろがあるか」という観点で選んでいます。
サーマレスト Zライト ソル|冬は「ベースマット」として必携
軽量・タフ・パンクしないという三拍子が揃った、定番のクローズドセルマットです。R値はおおむね2.6前後と単体で冬キャンプをまかなうには不足しますが、「一番下に敷くベース」として非常に優秀です。アルミ蒸着面を上にして使うことで、体からの放熱をある程度反射してくれるのもポイントです。
凸凹形状のおかげで地面の小さな凹凸を吸収し、多少の小石や枝があっても気になりにくい構造になっています。折り畳み式なので展開・撤収も早く、サッと広げて座布団代わりに使うことも可能です。厚み自体はそこまでないものの、「ゼロより一枚」「安いマットより信頼できる一枚」を足すことで、体温の奪われ方が大きく変わります。
冬キャンプでは、このZライト ソルを地面側に敷き、その上に高R値のインフレータブルマットを重ねる構成が定番です。ファミリーで使う場合は、子どもの寝る位置だけでもクローズドセルを重ねてあげると安心感がぐっと増します。
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サーマレスト ネオエアー Xサーモ|氷点下も視野に入る高R値マット
ネオエアー Xサーモは、インフレータブルマットのなかでもトップクラスの断熱性を持つモデルです。R値は7以上とされ、氷点下の環境でも体温をしっかり守ってくれます。内部に特殊な層構造を採用することで、空気の対流を抑えつつ熱を閉じ込める設計になっており、数字以上に「冷たさを感じにくい」印象を受けるマットです。
高R値でありながら比較的軽量・コンパクトに収まり、徒歩・電車・バイクキャンプなど荷物制限が厳しいスタイルにも対応できます。表面はややシャカシャカした質感で、好みは分かれるものの、寝返りのしやすさという意味ではメリットにもなります。
冬キャンプで「まず一本選ぶ」としたら、Xサーモは非常に有力な選択肢です。氷点下前後のキャンプも視野に入れているなら、単体でも十分戦えますし、Zライト ソルを下に重ねれば、雪中キャンプにも対応できるレベルの安心感が得られます。ソロキャンプ中心で、冬も継続的に楽しみたい方に向いた一本と言えるでしょう。
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シートゥサミット コンフォートライト インシュレーテッド|静かで寝心地重視の冬向けバランスモデル
シートゥサミットのコンフォートライト インシュレーテッドは、「軽さ」と「寝心地」と「断熱性」のバランスに優れたインフレータブルマットです。独自のエアスプラングセル構造によって身体の荷重を細かいセルに分散し、沈み込みすぎず底付きもしにくい、独特の“点で支える”寝心地を実現しています。R値はモデルにもよりますが約3.5前後で、0℃前後までの冬キャンプなら現実的に対応できる性能です。
また、表面素材の静音性が高く、寝返りを打ってもシャカシャカとした音が出にくいのもポイントです。冬はウェア同士の擦れ音が増えがちですが、マット自体が静かだとテント内でのストレスがかなり減ります。ファミリーキャンプや、テントを共有するスタイルでも周囲に気兼ねなく使えるタイプのマットと言えるでしょう。
氷点下を本格的に攻めるには少し心許ないため、Zライト ソルなどR値2前後のクローズドセルマットと組み合わせて使う前提にすると安心です。秋〜初冬のキャンプや、0℃前後までの冬キャンプを想定しつつ、「寝心地も静かさも妥協したくない」という方にとって、汎用性の高い一本になります。
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エクスペド Ultra 7R|厳冬期も見据えた高R値の本格仕様
R値7.1(ASTM基準)の高断熱性能を持つ、本格派の冬向けインフレータブルマットです。R値6〜7クラスとされ、雪中キャンプや-5℃前後の厳しい環境でも「地面からの冷えをほぼ感じない」レベルの保温力を備えています。
内部には高性能な中綿を封入し、空気の対流を抑えながら熱をしっかり閉じ込める構造となっており、一般的なエアーマットとは一線を画す暖かさを発揮します。さらに、厚みと反発力のバランスが良く、身体を面で支える安定感があるため、長時間横になっても腰や肩が沈み込みにくい点も魅力です。
冬キャンプの「寒くて寝つけない」を根本から解決してくれる、信頼性の高い一本です。
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Naturehike インシュレーテッドエアーマット|冬デビューにうれしい高コスパモデル
Naturehike の中綿入りエアーマットは、価格と性能のバランスに優れたコストパフォーマンスの高いモデルです。R値の公表値はモデルによって異なりますが、本記事で紹介しているR5.8モデルは、0℃前後〜雪の残るコンディションまで現実的に対応できるスペックです。中綿入りのため、通常のエアーマットよりも底冷えを感じにくく、寝心地も悪くありません。
重量と収納性のバランスも良好で、「冬も含めて年に数回キャンプに行く」くらいの頻度の方にとって扱いやすい一本です。特に冬キャンプデビューのタイミングで、いきなり高級マットに踏み切るのはハードルが高い…という場合に、試しやすい価格帯であることも魅力です。
0℃前後までのサイトが中心であれば、このマットをメインにしつつ、より気温が下がる日はクローズドセルマットを下に追加するだけで、対応できるシーンがぐっと広がります。将来的に本格的な冬装備にアップグレードしても、「サブマット」「友人用」として無駄になりにくいタイプのギアでもあります。
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比較表|R値・重量・想定気温帯
ここまで紹介した5つのマットを、ざっくり比較できるようにまとめます。正確な数値はメーカー公表値を参照しつつ、冬キャンプのイメージをつかむための目安としてご覧ください。
| モデル | タイプ | R値(目安) | 重量の傾向 | 想定気温帯の目安 | おすすめの使い方 |
|---|---|---|---|---|---|
| サーマレスト Zライト ソル | クローズドセル | 約2.6 | 非常に軽い | 冬単体は不可/重ね使い前提 | ベースマットとして常に一番下に敷く |
| ネオエアー Xサーモ | インフレータブル | 6.0以上 | 軽量 | -5℃前後の本格冬キャンプ | 単体+必要に応じてZライトを追加 |
| シートゥサミット コンフォートライト インシュレーテッド | インフレータブル | 約3.5〜4.0 | 軽量 | 0℃前後まで | Zライトとの二枚重ねで初冬〜軽い冬キャンプ |
| エクスペド Ultra 7R | インフレータブル(中綿入り) | 約7.1 | 軽量〜中程度 | 氷点下・雪中 | 厳冬期のメインマットとして |
| Naturehike インシュレーテッドエアーマット | インフレータブル(中綿入り) | 約5.8 | 軽量〜中程度 | 秋〜初冬・0℃前後 | 冬デビュー用、+クローズドセルで強化 |
シーン別の選び方と構成例
0〜5℃前後の冬デビュー向け
まずは「キャンプ場の最低気温が0℃前後」という環境であれば、Naturehike のインシュレーテッドエアーマットやシートゥサミット コンフォートライト インシュレーテッドなど、R値4〜5前後のマットをメインにする構成が現実的で、今回紹介したNaturehikeのR5.8モデルやシートゥサミット コンフォートライト インシュレーテッドがちょうど対象になります。寒さが不安な場合は、Zライト ソルを下に敷くことで、合計R値を底上げできます。
-5℃前後の本格的な冬キャンプ
標高の高いキャンプ場や内陸の冷え込みが厳しいエリアでは、Xサーモやダウンマットのような高R値のマットを使うのが安心です。それでも「冷えにくい地面」と「キンキンに冷えた地面」では体感が大きく変わるため、余裕があればZライト ソルなどを下に敷いて、地面側の冷気をさらにカットしておくとよいでしょう。
雪中・連泊キャンプを視野に入れる場合
雪上でのキャンプや、連泊で地面の冷えが蓄積してくるようなシチュエーションでは、R値5〜6以上を確保したうえで、クローズドセルとの二枚重ねを前提とした構成が安心です。ダウンマットやXサーモ級のマットに加え、ベースマットとしてZライト ソルを敷けば、相当過酷な環境でも底冷えしにくくなります。
さらに、上半身だけ電気毛布を併用したい場合は、電源周りの設計を含めて 冬キャンプの電気防寒ギア完全ガイド を参考にしておくと、より余裕を持った冬装備が組みやすくなります。
ありがちな失敗と回避策
「厚いエアーマット=暖かい」と思い込む
冬キャンプ初心者の方がよくやってしまうのが、「分厚いエアーマットなら暖かいだろう」とR値を見ずに選んでしまうパターンです。中綿のないエアーマットは、内部の空気が対流してしまうため、見た目ほど断熱性が高くありません。寒い夜に「フワフワなのに背中が冷える」という状態になりやすく、睡眠の質が大きく落ちてしまいます。
マットに投資せずシュラフだけを強化する
「とりあえず暖かい寝袋を買えば大丈夫」と考えて、マットを夏用のままにしてしまうケースもよく見られます。実際には、地面側からの冷えが大きいと、どれだけシュラフのスペックが高くても体温がじわじわ奪われていきます。マットとシュラフを同時にアップグレードするのが理想ですが、予算が限られている場合は「マット強化+レイヤリングの工夫」である程度カバーするのも現実的な選択肢です。
サイズを削りすぎて肩・腰・足元が冷える
軽量化を意識するあまり、ショートサイズのマットを選び、肩や足元が冷えてしまうパターンもあります。特に冬は、肩・腰・お尻まわりの冷えが顕著に出やすく、短すぎるマットはかえって疲労の原因になります。どうしてもショートマットを使う場合は、足元にザックや予備ウェアを敷くなど、冷えを感じやすい部分を何かで補う工夫が必要です。
よくある質問(FAQ)
Q. コットを使うならマットは要りませんか?
A. コットがあっても、冬はマットが必要です。地面から浮いている分、冷えた空気が身体の下を流れやすく、体温が奪われやすくなります。コット+マットの構成で考えることをおすすめします。
Q. R値が書かれていないマットはどう判断すればいいですか?
A. 厚さや素材、メーカーが示す使用温度帯などからある程度推測できますが、冬キャンプ用としては不安が残ります。そうしたマットを使う場合は、クローズドセルマットとの二枚重ねを前提にし、実際のキャンプ前にベランダや自宅で一度試してみると安心です。
Q. マットと寝袋、どちらにお金をかけるべきですか?
A. どちらも重要ですが、冬キャンプで「寒くて眠れない」原因の多くはマット側にあります。既にそれなりの冬用シュラフをお持ちであれば、まずマットの見直しを優先した方が体感としての改善度が大きいことが多いです。
まとめ|冬キャンプはマット選びで快適さが大きく変わる
冬キャンプでは、地面からの冷えをどこまで抑え込めるかが勝負どころです。R値の目安を押さえつつ、行き先の気温やキャンプスタイルに合わせて、クローズドセルマットとインフレータブルマットを上手に組み合わせることで、同じ気温でも驚くほど快適に眠れるようになります。
マット・シュラフ・衣類・電源のバランスを意識しながら、ご自身にとって無理のない冬装備を組み立てていきましょう。

