『ふたりソロキャンプ』10話で薪の組み方について触れられていました。焚き火は「薪をどう積むか」で燃え方が大きく変わります。炎の高さ、火力の集中度、持続時間――見た目以上に実用面で差が出るのです。
本記事では、薪の組み方の代表例を整理し、用途や焚き火台との相性を含めて解説します。初めて挑戦する方でも迷わないよう、失敗しやすいポイントや実際の対策も交えてまとめました。
用途別の最適解
最初に答えを出すと、目的ごとに適した薪の組み方は以下の通りです。
- 調理で強火を集中させたい → ティピー(合掌組み)
- 長時間燃やして熾火を維持したい → 井桁(ログキャビン)/トップダウン
- 小型焚き火台で省薪したい → 星型(スター)
- 風が強い・崩れやすいとき → 低めの井桁+太薪で壁を作る
つまり「目的 → 焚き火台の形 → 薪の太さ・乾燥具合 → 組み方」という順で考えれば、最適な形にたどり着きやすいのです。
薪と焚き火台の前提知識
組み方の前に、薪と焚き火台の基本を押さえておきましょう。
- 薪の種類:針葉樹は着火が容易で炎が立ちやすいが燃え尽きが早い。広葉樹は火持ちが良く熾火づくりに適する。
- 含水率と割り方:乾いた薪(含水率20%以下)が理想。細薪→中薪→太薪と段階的に使うのが基本。
- 焚き火台の形状:円形・角形・浅底・深底で空気の流れが変わる。形に合う組み方を選びたい。
- 安全とマナー:直火禁止のサイトも多く、耐火シートや火消しの準備は必須。
焚き火の組み方は焚き火台の形状にも大きく左右されます。台の種類ごとの特徴は 焚き火台の選び方とおすすめモデル で詳しく解説しています。
薪の乾燥状態を見極めるコツ:乾いた薪は叩くと高い乾いた音が鳴り、割り口に放射状の細かな割れが入ります。樹皮は自然に剥がれやすく、手に持つと軽いのが特徴。湿った薪は重く、煙とススが出やすいので組み方で空気の通りを確保しましょう。
直火と焚き火台、その違いと注意点
焚き火は大きく「直火」と「焚き火台」に分けられます。直火は地面に直接火を起こす方法で、かまどを作って燃焼効率を高めるスタイルも含まれます。一方、焚き火台は地面を保護しつつ燃焼を安定させられるため、現在のキャンプ場では基本装備とされています。
直火
直火は地形に合わせて自由に火床を作れるのが魅力ですが、芝や土を傷めたり灰の処理が難しいのが欠点です。近年は直火禁止のキャンプ場が多いため、実施できる場所は限られます。直火可能なサイトでも耐火シートを敷くなど最低限の配慮が必要です。
かまどの作り方(直火可のサイト限定)
- 場所選び:芝生は避け、既に地肌が出ている裸地・砂地・河原などを選ぶ。
- 火床整備:小石や枝を除いて平らにし、耐熱シートを敷けるなら敷く。
- 石積み:周囲を三方囲い(または四方)で高さ15〜20cmに積む。空気の通り道を1方向に確保。
- 設置:石の内側に火口と薪を置き、必要なら石の上に網やゴトクを渡す。
- 注意:湿った河原石は爆ぜる恐れ。乾いた石を用い、人体から距離を取る。
- 撤収:完全消火→灰を持ち帰るか指定場所へ→石は元に戻し、痕跡を最小化。
石で囲うことで風除けになり、輻射熱も得やすくなります。ただし河原の石は熱で割れて破片が飛ぶことがあるため、乾いた石を選ぶのが安全です。
焚き火台
焚き火台は直火のデメリットを解消しつつ、空気の流れをコントロールして効率よく燃やせるのが特長です。地面を痛めにくく、設営や片付けも容易。ほとんどのキャンプ場では焚き火台の使用が前提になっています。
代表的な薪の組み方

ティピー(合掌組み)
中心に火口を置き、細薪を円錐状に立てかけて外側へ中薪・太薪を加えていく組み方。炎が立ち上がりやすく、湿った薪の乾燥にも役立ちます。
向くシーン:調理、強火を得たいとき。
相性:円形の焚き火台や直火サイト。
井桁(ログキャビン)
薪を井桁状に組み、中央に火口を置いて上へ積み上げるスタイル。空気の通りが良く、崩れにくいのが特徴。
向くシーン:長時間の焚き火、熾火づくり。
相性:角形やゴトク付きの焚き火台。
星型(スター)
中心に小さなティピー(焚き付け+細薪)を作り、その周囲に太薪4〜6本を放射状に配置する組み方。燃え進みに合わせて先端を1〜3cmずつ送り込み、火力を省エネでコントロールします。
向くシーン:小型焚き火台、薪を節約したいとき。
相性:ソロ用コンパクト焚き火台(調理はゴトク併用推奨)。
トップダウン
下に太薪→中薪→上に細薪と火口を置き、上から着火する方法。炎が下へ移動していくため煙が少なく、安定した熾火が得られます。
向くシーン:調理前の下準備、長時間焚き火。
相性:深底の焚き火台。
| 組み方 | 初期安定性 | 火力集中 | 持続 | 煙の少なさ | 調理適性 |
|---|---|---|---|---|---|
| ティピー | ◎ | ◎ | △ | △ | ○(湯沸かし) |
| 井桁 | ○ | ○ | ◎ | ○ | ◎(熾火調理) |
| 星型 | ○ | △ | ○ | ○ | △(維持火向け) |
| トップダウン | ○ | △ | ◎ | ◎ | ○(煙少なめ) |
目的別の使い分け
調理用 → ティピーで強火を作り、ゴトクと組み合わせて鍋を安定させる。
暖房・鑑賞 → 炎を楽しむならティピー、熾火を長く保つなら井桁やトップダウン。
小型台・薪節約 → 星型で最小限の薪をコントロール。
強風対策 → 薪を低く組んで風防やリフレクターを活用。
火力維持に便利なアイテムは 火吹き棒の使い方と選び方 も参考になります。
薪の組み方と調理器具の相性
組み方によって調理のしやすさも変わります。料理を目的にするときは、器具に合わせて炎を作ることが大切です。
- ダッチオーブン料理:熾火を安定させやすい井桁やトップダウンが向く。
- スキレット・フライパン:強火が得やすいティピーで素早く加熱。
- ケトルやコーヒー:小さな炎でも十分。星型で火力を調整しながら沸かすのが効率的。
失敗例と対策
- 煙が多すぎる → 含水率が高い薪/空気の通りが悪い → 細薪を追加して隙間を作る。
- 崩れる → 支点不足 → 下から組み直す/三角支柱を立てる。
- すぐ消える → 太薪だけに頼る → 細薪で橋渡し。
- 焚き火台の熱ダレ → 耐熱シートや灰受けを併用。
5分セットアップの流れ
- 風向きを確認して焚き火台を設置
- 薪を細・中・太に仕分ける
- 空気の通り道を意識して組む
- 点火 → 最初の3分は手を出さない
- 炎が落ち着いたら薪を送る
よくある質問(Q&A)
Q. 井桁とティピー、調理に向くのは?
→ 短時間の強火はティピー、熾火調理は井桁が安定します。
Q. 小型焚き火台で長持ちさせるには?
→ 星型で少しずつ薪を送ると省エネで燃やせます。
Q. 煙を減らしたい
→ トップダウン方式が有効。乾いた薪を使うのが前提です。
Q. 風が強いときは?
→ 無理に高く組まず、風防やリフレクターを使って炎を守りましょう。
まとめ
薪の組み方は、ただの見た目ではなく「燃焼効率」「調理のしやすさ」「持続時間」に直結します。
迷ったら、以下を基準に選びましょう。
- 調理用 → ティピー
- 長時間燃焼 → 井桁/トップダウン
- 省薪・小型台 → 星型
ちなみに『ふたりソロキャンプ』10話で薪の組み方が描かれたように、焚き火のスタイルは物語や文化の中でも表現される要素です。作品をきっかけに実際の現場で試してみると、より深くキャンプを楽しめるでしょう。
焚き火は薪の組み方ひとつで性格が変わります。自分のスタイルに合わせた方法を知っておけば、夜のキャンプ時間がもっと快適に、そして楽しくなるでしょう。

