「旅館に泊まりながら、庭でバーベキューや焚き火ができる」。そんな少し変わったスタイルで楽しめるのが、長野県にある旅館グランピング おおぐて湖畔 しらさぎ荘です。
今回は、2024年5月に夫婦+4歳手前の子どもの3人で宿泊したときの様子をもとに、初心者・子連れ目線でのリアルな体験談をまとめます。テント設営は一切不要、それでいて湖畔キャンプらしい雰囲気も味わえる、いわば「旅館とキャンプのいいとこ取り」を狙った施設です。
キャンプ場選び全般の考え方については、別記事の「初心者向けキャンプ場の選び方|立地・設備・スタイル」で整理していますが、この記事ではしらさぎ荘にフォーカスし、「子連れキャンプの入り口としてどうか」という視点で詳しくレビューしていきます。
旅館グランピング おおぐて湖畔 しらさぎ荘の基本情報とロケーション
おおぐて湖畔 しらさぎ荘は、その名の通りおおぐて湖のほとりに建つ旅館をベースにした宿泊施設です。湖に面した敷地には、旅館の客室棟と湖畔キャンプサイトが段々畑のように配置されており、サイト全体として開放感のあるレイアウトになっています。
ロケーションとしては、いわゆる「アクセス抜群の高規格キャンプ場」とは違い、車前提で向かうタイプの立地です。高速インターからすぐ、というよりも「そのエリアに旅行するからあわせて利用する」という感覚に近く、思い立って日帰りで寄る場所ではないと感じました。
一方で、湖畔の静けさと、周囲に大きな街明かりがない環境のおかげで、夜は星がよく見えます。自然の中でゆっくり過ごしたい人には向いているロケーションだと言えるでしょう。
基本情報(公式情報まとめ)
- 正式名称:おおぐて湖畔 しらさぎ荘
- 公式サイト: https://www.shirasagisou.com/
- 住所:〒399-2101 長野県下伊那郡下條村睦沢7144
- 電話番号:0260-27-2265(最新の受付時間は公式サイト等でご確認ください)
- 営業日:通年営業(休館日・臨時休業は公式サイト要確認)
- チェックイン/アウト:
旅館客室・星見テラスなど、利用プランによって時間が異なります。 目安としては旅館客室が16:00チェックイン/10:00チェックアウトとなっており、 詳細は予約プラン・公式サイトで必ずご確認ください。 - アクセス:
【車】三遠南信自動車道 天龍峡ICから約15分
【電車】JR飯田線 天竜峡駅から車で約18分 - 地図:
- 主な設備:
和室客室、星見テラス付き客室(ハンモック・焚き火スペース・BBQエリア)、 貸別荘、バンガロー、テントサイト、オートキャンプサイト、大広間、 焼肉ハウス、駐車場など - 主なサービス:
旅館グランピング(星見テラスBBQプラン)、宿泊プラン各種(素泊まり~2食付き)、 BBQ食材付きプラン、釣り・カヌーなど湖畔アクティビティ、 おおぐて湖キャンプ場の併設利用など
※掲載内容は執筆時点の情報です。最新の営業状況・料金・プランは必ず公式サイトをご確認ください。
利用したシーズンとメンバー構成
わが家が訪れたのは2024年5月。日中は暖かく、朝晩はまだ少し冷え込む時期でした。メンバーは、キャンプ経験のある夫婦2人と、ほぼ4歳の子ども1人の合計3人です。
今回選んだのは、旅館の客室に泊まりつつ、専用の庭スペースでBBQができるプラン。いわゆるドームテントや豪華な常設テントが並ぶ最新グランピングではなく、「昔ながらの旅館+外遊びスペース」という印象に近いスタイルでした。
チェックインと第一印象|ギャル女将が迎える湖畔の旅館
チェックインはキャンプ場受付ではなく、旅館入口のフロントで行います。到着すると、いわゆる「若いギャル女将」といった雰囲気の女性スタッフが対応してくれました。見た目は今風でも、応対はていねいで、子どもにも優しく話しかけてくれたのが印象に残っています。
館内に入ると、建物自体はやや年季の入った旅館という雰囲気です。豪華さやラグジュアリーさを求めるタイプではありませんが、「湖畔の旅館に来たな」という素朴さがあり、過度な演出のない落ち着いた空気感でした。
客室と専用庭のレイアウト|古めの和室+きっちり区画された庭サイト
客室はやや古めの和室だが、清掃状態は問題なし
今回は、旅館棟の和室タイプの客室に宿泊しました。内装は少し古さを感じるものの、畳や障子の雰囲気は落ち着いており、清掃状態も特に気になる点はありません。いわゆる「昭和〜平成の素朴な旅館」という印象で、華やかさよりも安心感重視といったところです。
一点だけ注意したいのは、トイレが客室内ではなく廊下側にあることです。大きな不便はありませんが、夜中に子どもを連れて行くときは、暗さが少し気になりました。特に真冬であれば「トイレに行くたびに寒い」と感じる場面もありそうです。
庭は区画きっちり、上段サイトからの視線はやや気になる
客室の外には、各部屋ごとにきっちり区画された専用庭があります。地面は砂利で、BBQ用のテーブルやチェアを置いても安定しやすい造りです。湖に向かって段々にサイトが並んでいるため、庭からも湖畔の開放感を味わえます。
一方で、段々構造ゆえに、上の段のサイトから庭全体が見下ろせる形になっており、プライベート感はやや控えめです。周囲のお客さんのマナーにもよりますが、「がっつりこもって過ごす」というよりは、ある程度周囲と景色を共有するイメージで捉えておくとよいでしょう。
蚊帳付き東屋でBBQ|夏場でも虫を気にせず楽しめる
庭の一角には、屋根付きの東屋スペースがあり、ここがBBQ会場になります。周囲にはメッシュ状の蚊帳を張ることができ、夏場の虫対策としてかなり安心感がありそうです。雨が降っても屋根のおかげである程度しのげるので、天候に左右されにくい点も魅力です。
テントを張ってタープを設営する必要がなく、到着して少し休んだらすぐにBBQに取りかかれるのは、子連れにとって大きなメリットだと感じました。
子どもが大喜びの常設ハンモック

専用庭にはハンモックが常設されており、これが子どもに大ヒットでした。外の空気を感じながらゴロゴロしたり、朝日を浴びながら寝転んだりと、テントがなくても「外でくつろぐ時間」をしっかり楽しめます。
ハンモックは自分で持ち込むと荷物になりがちなので、最初から備え付けられているのはうれしいポイントです。親としても、子どもが庭でご機嫌に過ごしてくれるぶん、その隙にBBQの準備を進められました。
寝具と室温管理|ちゃんと眠れる安心感
寝具は旅館らしく布団敷きの和室スタイルです。マットが薄すぎて体が痛くなるようなこともなく、快適に眠ることができました。テント泊だとマット選びを間違えると眠りの質がガクッと落ちますが、その心配がないのは旅館泊ならではの安心感です。
宿泊した5月は夜になるとまだ少し冷え込みましたが、室内には暖房器具があり、部屋の中は終始快適な温度に保たれていました。子どもの寝冷えを心配せずに済んだのは、ファミリーキャンプ目線で大きなメリットです。
夕食BBQと朝食|旅館とキャンプ飯のいいとこ取り
夕食はボリュームたっぷりのBBQセット
夕食はBBQセット付きのプランだったので到着後すぐに用意していただけました。肉や野菜など一通り揃っており、量も十分。さらにフルーツまで付いていて、全体としてかなり満足度の高い内容でした。
また、セットの中にあった五平餅がとても美味しく、思わず「また食べたい」と感じた印象深い一品でした。甘めのみそダレが香ばしく焼け、BBQの流れにもよく合う味付けで、今回の食事の中では特に心に残っています。総じて、キャンプ場のBBQとしては必要十分+ちょっと嬉しい満足感があり、買い出しや下ごしらえの手間を考えると、子連れで利用する価値は高いと感じました。
朝食は旅館らしい和朝食でホッと一息
朝食は、旅館側の和朝食を食堂でいただくスタイルでした。焼き魚や小鉢、味噌汁、ご飯といった、いかにも旅館らしい内容で、味も良く、量もほどよいバランスです。
キャンプだと朝食の準備や片付けもなかなか大変ですが、ここでは「起きて行けば用意されている」という気楽さがあります。子ども連れで疲れを溜めたくない家族にとっては、かなりありがたいポイントだと思います。
共有設備とお風呂|古めの旅館設備だが不満は少ない
トイレは「古い旅館」の標準レベル
共用トイレは、外観・設備ともに古い旅館らしい雰囲気です。最新のキラキラしたホテルと比べると見劣りはしますが、不潔さを感じることはなく、普通に使えるレベルでした。
気になるのはやはり夜の動線です。廊下が暗めで、子どもを連れて移動する際には少し緊張感がありました。暗い場所や古い建物の雰囲気が苦手な方は、事前にその点を覚悟しておくとよいかもしれません。
大浴場ほどではないが、ちゃんと湯船につかれるお風呂
浴室は「大浴場」と呼ぶほど大規模ではありませんが、しっかり湯船につかれるお風呂が用意されています。窓からの絶景が楽しめるタイプではなく、外の景色は見えませんが、キャンプ中にしっかり体を温められるだけで十分価値があると感じました。
テント泊だとシャワーだけ、もしくは近隣の温泉まで車で移動…というパターンも多いので、同じ施設内で完結するのはかなりラクです。特に子どもがいると、夜に車で移動しなくて済むのは大きな安心材料です。
湖畔の環境と夜の雰囲気|散歩・星空・焚き火・花火
湖畔一周の散歩と釣りの雰囲気
到着は少し遅めの時間でしたが、それでも湖畔を一周する軽い散歩を楽しめました。道自体は難しくなく、湖面を眺めながら歩くだけでリフレッシュできます。釣り客の姿もあり、釣り目的で訪れる人も多そうな印象でした。
囲われた直火風スペースで楽しむ焚き火

庭には、一般的な焚き火台ではなく、レンガでぐるりと囲われた専用焚き火スペースが用意されています。薪を中に組むだけで焚き火の位置や高さが決まるので、初めての焚き火でも安心して楽しめました。

周囲が暗くなると焚き火の炎がよく映え、湖畔キャンプらしい雰囲気が一気に高まります。暗さゆえに、湖畔の方へ歩き回るのは足元が危険ですが、庭の中だけで焚き火を囲んで過ごすには最高の環境でした。
手持ち花火OKで、子どもの夜遊びも充実
サイト内では手持ち花火も楽しめます(打ち上げや大きな音が出るものはルールで制限されている可能性が高いので、現地で必ず確認しましょう)。焚き火と星空に加えて花火までできると、子ども目線では「キャンプに来た感」が一気に高まります。
焚き火で火の扱いを学びつつ、最後に花火で盛り上がる。安全に配慮しながらも、夜の楽しみをしっかり詰め込める環境だと感じました。
初心者・子連れ目線で感じたメリットと注意点
設営不要でキャンプ気分だけを楽しめる安心感
しらさぎ荘の旅館グランピングスタイルで一番のメリットは、やはりテント設営や撤収が一切いらないことです。到着してチェックインを済ませたら、ほぼそのまま庭で遊び始められます。
「キャンプに興味はあるけれど、いきなりテント泊は不安」「道具をそろえる前に、まずは雰囲気を試してみたい」という家族にとっては、非常にちょうどいい入口だと感じました。同じようにテントを張らずに楽しめる宿泊スタイルについては、「コテージ・バンガロー・常設テント・グランピング|手ぶらで楽しむキャンプ宿泊スタイル比較」でも整理しているので、「次はどんな泊まり方を試そうか」と考える際の参考になると思います。
トイレ動線・暗さ・アクセスは事前に覚悟しておきたい
一方で、注意点もいくつかあります。まずは前述のとおり、トイレが部屋の外にあること。特に夜間や冬季は、子ども連れでの移動が少し大変です。また、旅館内や廊下の照明はやや暗めで、雰囲気がある反面、暗所が苦手な方には怖く感じられるかもしれません。
さらに、アクセス面も「便利」とは言い難く、その方面に旅行する予定がある人向けという印象です。近場で思い立って行くキャンプ場というより、「湖畔でゆっくり過ごす旅を計画し、その宿として選ぶ」イメージのほうが近いでしょう。
総合評価と、どんな人におすすめか
初心者・子連れ目線で点数をつけるなら、おおむね70点/100点という印象です。寝る場所の安心感、BBQと朝食の手軽さ、焚き火や花火・ハンモックといった体験要素は高評価。一方で、トイレ動線や館内の暗さ、アクセスのハードルなどで減点要素もあります。
キャンプに慣れてきて、湖畔のフリーサイトやオートサイトでのテント泊を楽しめるようになれば、ここはソロやデュオで湖畔キャンプを満喫するベースとしても面白そうです。その段階まで行けば、体験の幅が広がり、評価も80点台まで上がるだろうと感じました。
同じように「設営いらず」で楽しめるフィールドとしては、首都圏から通いやすい「ちがさき柳島キャンプ場レビュー|設営いらずで快適な林間サイト体験」もあります。アクセス重視で手軽に雰囲気を試したいなら柳島、湖畔でじっくり過ごしたいならしらさぎ荘、というように目的で選び分けるのがおすすめです。
もう少しキャンプ寄りの環境で泊まってみたい場合は、コテージやバンガロー主体の「満願ビレッジオートキャンプ場レビュー|自然に囲まれた手軽な宿泊体験」も候補になります。しらさぎ荘で「旅館ベース+外遊び」に慣れてきたら、こうした施設にステップアップしていくと、無理なくキャンプの幅を広げていけます。
総じて、旅館グランピング おおぐて湖畔 しらさぎ荘は、「テント泊に踏み切る前に、旅館ベースで湖畔キャンプを体験してみたい」という家族にとって、ちょうどよい一歩目になり得る場所でした。湖畔キャンプに興味がある方は、旅行のルートに合わせて候補に入れてみる価値は十分あると感じます。

